2021年3月26日(金)発行
みなさまへ
失敗を乗り越えて成功した人に、称賛の声があがる。一方、成功を重ねつつ、最後に失敗した人がそしられる。
こうして日々多くの人が世間の評価に曝(さら)される。人を見極めることは難しい。人は成功もすれば失敗もする。成功した数から失敗した数を差し引いて、価値が定まるものではない。
失敗した経験があるからこそ成功が生まれることもあるのだから。一人の人間を360度から見回しても、完全に理解するのは不可能であろう。どんな誠実な人にも狡猾(こうかつ)さがあり、強そうな人にも必ず弱さがある。
だから、これから人を見極める場合、その人の今の姿勢を知りたい。たとえ失敗した過去があっても、失敗から貴さ(とうと)を学び、その経験を次の機械に生かそうとして英気を養っている今の姿こそ信じるべきではないか。
そして、日々自分の目の前に現れる人には常に同じ態度でいたいものである。驕(おご)らず、卑屈になることもなく、虚心坦懐(きよしんたんかい)、一個の人間同士として。望ましい人間関係はそうした互いの真摯な交流からおのずと芽生えてくるに違いない。(PHP・2021.3月号より)
本日もよろしくお願いいたします。